相続税の除斥期間(時効)
1 相続税の除斥期間(時効)とは
相続税にも、除斥期間(時効)の制度が設けられています。
このため、一定の期間が経過すると、相続税を申告、納付する義務が消滅することとなります。
このことは、一般には、相続税の時効と呼ぶことが多いですが、法律用語としては、正確には、相続税の除斥期間と呼びます。
2 相続税の除斥期間(時効)の計算方法
相続税の除斥期間(時効)は、相続税の申告期限の翌日から5年または7年とされています。
除斥期間(時効)の始まりは、相続税の申告期限ですので、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月後になります。
基本的には、被相続人が亡くなった日から10か月後が、除斥期間(時効)の始まりになるでしょう。
それでは、除斥期間(時効)が5年か7年かは、どのようにして区別されるのでしょうか。
法律上は、偽りその他不正の行為により、その全部もしくは一部の税額を免れた場合の除斥期間(時効)が7年であり、そうではない場合が5年であるとされています。
つまり、意図的に申告しなければならないのに申告しなかった場合や、意図的に本来の税額よりも低い税額を申告した場合には除斥期間(時効)が7年になり、そうではない場合が5年になります。
3 除斥期間(時効)が経過しない場合
5年または7年の期間が経過したとしても、以下の場合には、除斥期間(時効)は経過せず、相続税を申告、納付する義務が残り続けることとなります。
・ 督促状が発せられた場合
督促状が発せられた時から、除斥期間(時効)が再スタートします。
・ 滞納処分(財産への差押え)がなされた場合
滞納処分(財産への差押え)が続いている限り、除斥期間(時効)は経過しません。
4 贈与税の除斥期間(時効)
なお、贈与税の除斥期間(時効)については、申告期限の翌日から6年とされています。
贈与税の申告期限は、贈与がなされた年の翌年の3月15日(3月15日が土日祝日の場合は、次の平日)ですので、その日から6年の期間が計算されることとなります。
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