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遺言執行者に就任した場合にすべきこと

  • 文責:弁護士 寺井渉
  • 最終更新日:2024年3月28日

1 相続人全員に対する通知

遺言執行者は、就任を承諾する場合には、まず相続人全員に対して、自身が遺言執行者に就職したことを遅滞なく通知するとともに、遺言の内容を通知します。

相続人全員に対する通知は、法律上義務付けられているものであり、これを行わなかった場合には、遺言執行者の解任の申立がなされたり、損害賠償がなされたりすることがありますので、注意が必要です。

相続人全員の住所が判明していない場合には、市区町村役場に問い合わせ、相続人全員の住所を調査する必要もあります。

2 相続財産の管理の着手、財産目録の作成

次に、相続財産の管理に着手し、財産目録を作ります。

遺言に書かれた内容を実現するために、どの程度の金額・種類の相続財産があるのかを把握するためです。

財産目録を作成したら、相続人全員に対して遅滞なく交付します。

財産目録の交付についても、法律上義務付けられているものになりますので、注意が必要です。

3 遺言内容の実現

財産目録を作成した後は、実際に遺言に書かれた内容を実現するための執行に入ります。

たとえば、子どもを認知するという内容であれば、市町村役場に届け出る、相続人を廃除するという内容であれば、家庭裁判所に廃除を申し立てて、確定すればこれも届け出るなどです。

その他に、不動産・預金・株式の名義変更、動産の引き渡しなども行います。

遺言執行が終了した時には、相続人に任務の終了を通知して、執行の概要について報告します。

4 遺言執行者に対する報酬の支払

遺言執行が完了すると、遺言執行者に対する報酬の支払がなされます。

その報酬は、遺言執行者が管理している相続財産から精算されることが多いでしょう。

遺言執行者の報酬の額については、遺言者が、あらかじめ定めておくことができます。

遺言の中で報酬の額も定めておくことも多いです。

遺言に報酬額の定めがなければ、家庭裁判所が定めることもできます。

5 遺言執行時の注意点

先述のとおり、遺言執行者は、相続人全員に対し、遺言の内容を通知したり、財産目録を交付したりする義務を負っています。

もし、問題がある遺言執行をした場合には、相続人などの他の利害関係人が家庭裁判所に申し立て、遺言執行者の解任や損害賠償を請求することもあり得ます。

このように、遺言執行については、慎重に職務を行うべき局面があります。

この点を踏まえると、遺言執行について不安な点がある場合には、専門家に遺言執行を委託した方が良いこともあるでしょう。

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