相続での借地・借家の扱いについて
1 相続で借地・借家の評価が問題になる場合
土地を賃貸する権利を借地権、建物を賃貸する権利を借家権と言います。
こうした借地権・借家権は、土地・建物を利用する権利であり、プラスの財産として評価されることがあります。
ここでは、借地権・借家権が評価される場合の評価方法についてご説明したいと思います。
2 借地権
借地権は、借地借家法により強く保護がされており、一定の期間、土地を利用し続けることができる権利となっています。
このような保護により、一定の期間が経過するまでは、賃貸人の都合により、一方的に賃貸借契約を終了することはできません。
このため、借地権については、プラスの財産として評価すべきとされることがあります。
それでは、相続においては、借地権についてどのように評価を行えば良いのでしょうか。
たとえば、相続税等の計算の際には、以下の評価方法を用いるべきとされています。
借地権の評価額=土地の評価額×借地権割合
借地権割合は、路線価図においてアルファベットで示されています。
借地権割合が何割とされるかは、住んでいる地域によって大きく異なります。
3割程度の評価額になることもあれば、9割程度の評価額になることもあります。
路線価図は、国税庁のホームページに掲載されていますので、借地権割合を調べたいときは、こちらの路線価図を使って簡単に調べることができます。
参考リンク:国税庁・財産評価基準書路線価図・評価倍率表
もっとも、実際には、上記の評価額では借地権を売却できないことも多いです。
実際に借地権がいくらで売却できるかについては、不動産業者等の意見を聞いた方が良いかもしれません。
3 借家権
借家権についても、借地借家法で一定の保護がなされていますが、独立した経済的価値のある権利として扱われることはあまり多くありません。
相続税等の計算の際にも、大都市の市街地でない限り、評価額が付されることはないとされています。
借家権が独立した経済的価値のある権利として扱われる場合は、相続税等の計算では、以下の評価方法が用いられます。
借家権の評価額=建物の評価額×借家権割合
借家権割合は、大阪の一部を除き、全国一律3割です。