遺産分割協議書の書き方(預貯金の場合)
1 遺産分割協議書を作成する際の注意点
遺産分割協議書は、どの遺産を誰が取得するかについて合意が成立した場合に作成されます。
遺産分割協議書を作成する主な目的は、財産の払戻や名義変更をすることにあります。
このため、遺産分割協議書では、払戻や名義変更の対象となる財産を特定できるように書く必要があります。
それでは、預貯金や有価証券については、遺産分割協議書上、どのように記載しておけば良いのでしょうか。
2 預貯金の場合
預貯金の場合、それぞれの預貯金について、取得する人を個々に決めるときには、金融機関名、支店名、預金の種類、口座番号を記載することで預貯金を特定することが多いです。
たとえば、「●●は●●銀行伊勢支店の普通預金(口座番号●●)を取得する」といった記載を用います。
ただし、ゆうちょ銀行については、支店名、口座番号に代わって記号番号が記載されていますので、「●●はゆうちょ銀行の通常貯金(記号番号●●―●●)を取得する」といった記載を行うことも多いです。
定期預金については、口座番号に枝番が付されていることがあります。
この場合は、「●●は●●銀行伊勢支店の定期預金(口座番号●●―●)を取得する」というように、枝番まで記載するのが正確な書き方です。
もっとも、枝番については、把握しにくいことがありますし、時間が経過すると、自動継続により別の枝番が付されることもあります。
このため、枝番の記載を省略して遺産分割協議書を作成することもあります。
枝番の記載が省略された遺産分割協議書であっても、多くの金融機関は手続を進めてくれます。
しかし、念のため、事前に枝番を省略しても良いかどうか、金融機関に確認した方が良いでしょう。
預金の残高については、記載を省略するのが一般的です。
残高は、出入金、利息の発生等により、時々刻々と変動するため、預金を特定する情報にはなりにくいためです。
特定の相続人が、特定の支店の預金をすべて取得することとしたい場合は、「●●は●●銀行伊勢支店のすべての預金を取得する」といった記載を用いることもできます。
金融機関に存在する預金をすべて把握できていない場合にも、このような記載を用いることもあります。
なお、10年以上の長期間にわたって出入金が行われていない口座については、休眠口座になっている可能性があります。
休眠口座についても、遺産分割協議書において特定して記載すれば、通常どおり払戻等を行うことができます。
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