相続における不動産の調査について
相続で不動産を調査する場合の注意点
相続財産の調査のために、亡くなった人名義の不動産を調査する際には、毎年4月から5月にかけて届く固定資産税の納税通知書を確認したり、市町村役場で固定資産課税台帳(名寄帳)を取得したりする場合が多いです。
もっとも、こうした方法で不動産を調査する場合には、いくつか注意する点があります。
① 固定資産課税台帳等に記載されているのは、その年の1月1日時点の所有不動産であること
固定資産税の納税通知書や固定資産課税台帳(名寄帳)には、その年の1月1日時点の所有不動産が記載されています。
裏返せば、1月1日以降に不動産の権利移転があったとしても、その権利移転は反映されていません。
したがって、亡くなった人が1月1日以降に不動産を譲渡したとしても、固定資産課税台帳等では、亡くなった人名義の不動産のままで記載されています。
逆に、亡くなった人が1月1日以降に不動産を取得したとしても、固定資産課税台帳等には、その不動産は記載されていないこととなります。
こうした1月1日以降の不動産の権利移転を調査するためには、別途、各不動産の登記事項証明書の調査を行う必要があります。
② 共有の不動産については、分けて記載されていること
固定資産課税台帳(名寄帳)では、亡くなった人が単独で所有している不動産と、亡くなった人が他の人と共有している不動産とが、別々に記載されています。
固定資産税の納税通知書についても、単独で所有している不動産のものと、共有している不動産のものが、別々に届きます。
調査のために固定資産税課税台帳(名寄帳)を取得するにあたっては、単独所有しているものだけでなく、共有しているものに関しても交付を希望することを明確にした方が良いでしょう。
また、固定資産税の納税通知書を確認するにあたっても、複数の納税通知書が届いていないか、所有者が「●●ほか」(●●の部分に亡くなった人以外の共有者が記載されており、亡くなった人の名前が記載されていない可能性もあります)と記載されたものが届いていないか等を確認するべきでしょう。
③ 先代名義の不動産が存在することがあること
亡くなった人の先代名義の不動産が残っていることもあります。
こうした不動産についても、亡くなった人が相続分を有する以上、亡くなった人の相続財産に含まれることとなります。
こうした不動産についても、共有の不動産と同様、固定資産課税台帳(名寄帳)では、亡くなった人が単独で所有している不動産とは別に記載されています。
固定資産税の納税通知書についても、亡くなった人が単独所有している不動産とは別に届くこととなりますので注意が必要です。